○直接通報等の取扱いに関する事務処理要綱
平成25年4月1日
消防本部訓令第24号
(趣旨)
第1条 この訓令は、直接通報及び即時通報(以下「直接通報等」という。)並びにワンタッチ通報の取扱いに係る事務処理及びその適正な運用を図るため必要な事項を定めるものとする。
(用語の定義)
第2条 この訓令において用いる用語は、それぞれ次のとおりとする。
(1) 直接通報とは、自動火災報知設備の作動信号を自動的かつ直接に、消防機関へ通報することをいう。
(2) 即時通報とは、自動火災報知設備の作動信号を遠隔受信した関係者等が現場を確認することなく消防機関へ通報することをいう。
(3) ワンタッチ通報とは、火災の発見者等が一の押しボタン等の手動起動装置を操作することにより自動的に消防機関へ通報することをいう。
(4) 警備会社等とは、防火対象物に設置された自動火災報知設備の作動信号の受信を受託している警備会社、ビルメンテナンス会社等をいう。
(5) 関係者等とは、当該防火対象物の管理権原者、従業員及び警備会社等の従業員をいう。
(6) 現場派遣員とは、即時通報した場合に当該防火対象物に出動し、必要な現場対応を実施する関係者等をいう。
(7) 非常通報装置とは、一の押しボタン等の手動起動装置を操作し、又は自動火災報知設備と連動することにより、電話回線(119番回線)を使用して消防機関を呼び出し、あらかじめ記憶されている情報を蓄積音声で通報するとともに相互通話を行うことができる装置をいう。
(8) ユーザーメッセージとは、蓄積音声による火災情報のうち、防火対象物に応じて記憶される所在地、対象物名その他をいう。
(直接通報を認める対象物)
第3条 消防署長が直接通報を認める対象物は、病院及び社会福祉施設等で自力避難が困難な者が多数入院、入所している防火対象物のうち、次に掲げる条件を満たしているものとする。
(1) 自動火災報知設備が消防法令の技術上の基準どおりに適正に設置され維持管理されていること。
(2) 自動火災報知設備の非火災報対策(「自動火災報知設備の感知器の設置に関する選択基準」平成3年12月6日付消防予第240号消防庁予防課長通知及び「自動火災報知設備の非火災報対策の推進について」昭和60年12月4日付消防予第134号消防庁予防救急課長通知に基づく所要の対策をいう。以下同じ。)が十分であること。
(3) 消防用設備等の点検報告、防火管理者の選任、消防計画の届出等防火管理が適正に実施されていること。
(4) 直接通報に用いる機器は、「火災通報装置の設置に係る指導・留意事項について」(平成8年8月19日付消防予第164号消防庁予防課長通知)に規定する非常通報装置であり、適正に維持管理されていること。
(即時通報を認める対象物)
第4条 消防署長が即時通報を認める対象物は、夜間休日等において無人となるもので、次に掲げる条件を満たしているものとする。
(1) 自動火災報知設備が消防法令の技術上の基準どおり適正に設置され維持管理されていること。
(2) 自動火災報知設備の非火災報対策が十分であること。
(3) 自動火災報知設備は、防火対象物全体に設置されていること。
(4) 即時通報に用いる機器の設置及び維持管理が適正であること。
(5) 消防隊が行う現場確認のために必要な破壊について管理権原者の事前承認があること。
(6) 即時通報を行った場合に、原則として消防機関が覚知後14分以内に現場派遣員が当該対象物に到達できること。ただし、自動火災報知設備の受信機設置場所に至る全ての扉を自動火災報知設備連動開錠式とするなど建物の対策状況を勘案して、当分の間到達時間を25分の範囲内で認めるものとする。
(7) 消防用設備等の点検報告、防火管理者の選任、消防計画の届出等防火管理が適正に実施されていること。
2 即時通報を警備会社等に委託する場合は、次に掲げる要件を満たしている警備会社等であること。
(1) 防災教育担当者(兵庫県下消防長会が実施する資格講習終了者等であること。)により適切な防災教育が実施されていること。
(2) 適切な現場出場体制が整っていること。
(3) 警備会社等が即時通報に用いる機器の設置及び維持管理が適正であること。
(特例)
第5条 消防署長は、防火対象物の実態等により前2条に規定する対象物以外の対象物についても直接通報又は即時通報を認めることができる。
(ワンタッチ通報を認める対象物)
第6条 ワンタッチ通報を認める対象物は、次に掲げる条件を満たしているものとする。
(1) ワンタッチ通報に用いる機器は「火災通報装置の設置に係る指導・留意事項について」に規定する非常通報装置であり、適正に維持管理されていること。
(2) 消防用設備等の点検報告、防火管理者の選任、消防計画の届出等、防火管理が適正に実施されていること。
(非常通報装置の技術上の基準等)
第7条 直接通報又はワンタッチ通報に用いる非常通報装置の設置及び維持管理等の技術上基準は、次のとおりとする。
(1) 蓄積音声情報は、次表に掲げる内容と順序であらかじめ記憶されたものであること。また、ユーザーメッセージについては、毎分200音程度の読み上げの速さで明瞭に聞き取れるものであること。
区分 蓄積 音声情報 | 直接通報の場合 | ワンタッチ通報の場合 |
1 通報信号音 | ピンポーン・ピンポーン | ピ、ピ、ピ、ピ、ピ |
2 通報メッセージ | “自動火災報知設備が作動しました” | “火事です、火事です” |
3 ユーザーメッセージ | (1) 「こちらは」 (2) 所在地 (3) 防火対象物名(特定できる名称) (4) 目標物 (例) こちらは、朝来市和田山町枚田436の1消防本部です。 電話番号は672―0119です。 | |
4 逆信メッセージ | “逆信してください” |
(2) 電話回線(119番回線)を補足することなく、指令台等に代わる試験装置(財団法人日本消防設備安全センターの認定を受けたものに限る。)を用いて試験を行うことができるものであること。
(3) 非常通報装置は、防災センター、管理人室等常時従業員等がいる場所に設置すること。なお、従業員のいる場所が2箇所以上となる場合は、自動火災報知設備の受信機設置室等の主となる場所に非常通報装置を設置し、他の場所には遠隔起動装置を設置すること。
(4) 直接通報に用いる非常通報装置は、連動停止スイッチを介して自動火災報知設備と接続されていること。
(5) 常用電源は、配電盤又は分電盤から専用回路で直接供給されること。
(6) 保守点検は、別添1の「非常通報装置の点検基準」に基づいて適正に行われるものであること。
(7) 設置に係る工事又は整備は、消防法(昭和23年法律第186号)に基づく消防設備士、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)に基づく工事担当者、電気事業法(昭和39年法律第170号)に基づく電気工事士等適正な資格を有する者によって行われるものであること。
(直接通報等の承認申請)
第8条 直接通報等をしようとする防火対象物の管理権原者は、消防署長に申請し、承認を受けるものとする。
2 即時通報を警備会社等に委託する場合は、申請書に警備会社等の概要を添付させるものとする。ただし、委託する警備会社等が第11条に定める登録を受けている場合は、警備会社等の概要は省略することができるものとする。
4 直接通報等の承認を受けた防火対象物の管理権原者は、承認申請内容に変更が生じた場合は、速やかに消防長に届け出るものとする。
(承認の取消し)
第9条 消防署長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、承認を取り消すことができるものとする。
(1) 偽りその他不正な手段により承認を受けたことが判明した場合
(2) 承認後の事情の変更により承認要件を満たさなくなった場合
(3) 防火対象物の管理権原者から取消しの申出があった場合
(4) その他直接通報等を実施することが適当でないと消防長が認める事案が発生した場合
2 消防署長は、前項により承認を取り消した場合は、防火対象物の管理権原者に通知するものとする。
(ワンタッチ通報の届出)
第10条 ワンタッチ通報をしようとする防火対象物の管理権原者は、消防署長に届け出るものとする。
3 ワンタッチ通報の届出内容に変更が生じた場合は、速やかに消防署長に届け出るものとする。
(警備会社等の登録)
第11条 消防署長は、警備会社等から即時通報に関する業務の実施について申請があった場合は、その旨を登録するものとする。
2 登録は、申請内容が第4条第2項の要件を満たしていると認める場合に登録台帳に記載することによって行うものとする。
3 消防署長は、前項の登録をした場合は、申請者に通知するものとする。
4 消防署長は、登録事項に変更が生じた場合は、速やかに届け出させるものとする。
(登録の取消し)
第12条 消防署長は、登録された警備会社が次の各号に掲げる事項のいずれかに該当すると認めたときは、登録を取り消すことができる。
(1) 第4条第2項の要件に適合しないと認めた場合
(2) 現場派遣員の到着が繰り返し遅延したと認められる場合
(3) 現場派遣員の措置等が不適当であると認められる場合
(4) その他登録の継続が不適当であると認められる場合
2 消防署長は、前項の規定により登録を取り消した場合は、警備会社に通知するものとする。
(事故等の報告)
第13条 直接通報及びワンタッチ通報について次に掲げる事案が発生した場合は、当該防火対象物の管理権原者にその内容、措置等について速やかに消防署長に報告させるものとする。
(1) 自動火災報知設備が作動したにもかかわらず、遠隔移報装置又は非常通報装置が作動しなかった場合(ワンタッチ通報は除く。)
(2) 非火災報により、直接通報又は即時通報がなされた場合
(3) その他特異な事象が発生した場合
2 直接通報等を取りやめた場合は、速やかに消防署長に届け出させるものとする。
3 ワンタッチ通報を取りやめた場合は、速やかに消防署長に届け出させるものとする。
(出動体制)
第14条 直接通報及びワンタッチ通報を受信した場合は、別に定める出動基準により対応するものとする。
(様式)
第15条 申請書等の様式は、次に定めるところによる。
(1) 直接通報等承認申請書 様式第1号
(2) 直接通報システム概要 様式第1号別添1
(3) 即時通報システム概要 様式第1号別添2
(4) 警備会社等概要 様式第2号
(5) 直接通報等承認通知書 様式第3号
(6) 直接通報等に関する変更届出書 様式第4号
(7) 直接通報等承認取消通知書 様式第5号
(8) ワンタッチ通報届出書 様式第6号
(9) ワンタッチ通報装置変更(廃止)届出書 様式第7号
(10) 登録申請書 様式第8号
(11) 登録台帳 様式第9号
(12) 登録通知書 様式第10号
(13) 登録事項変更届出書 様式第11号
(14) 登録取消し通知書 様式第12号
(15) 直接通報等事故報告(廃止届出)書 様式第13号
(16) ワンタッチ通報事故報告書 様式第14号
附則
1 この訓令は、平成25年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 この訓令の施行前に、養父市内において既に警備会社等に委託し、即時通報を実施している対象物の取扱いについては、次によるものとする。
(1) 各々の防火対象物の管理権原者に代わって受託している警備会社等からの一括届出を認めることとする。
(3) 非火災報対策は、この訓令の施行の日から3年間猶予することとする。
(4) 一括届出は、別に定める即時通報実施対象物届出書によるものとする。
(5) 一括届出に係る承認通知は行わないものとする。
附則(令和4年3月31日消本訓令第1号)
この訓令は、令和4年3月31日から施行する。
別添(第7条関係)
非常通報装置の点検基準
非常通報装置にかかる点検については、次により行うものであること。
1 点検の種類
点検は、外観点検と総合・機能点検に分けて実施するものとする。
(1) 外観点検
非常通報装置の機器の適正な配置、損傷等の有無その他主として外観から判別できる事項について確認を行うこと。
(2) 総合・機能点検
非常通報装置の機器の機能について、簡単な操作又は全部若しくは一部を作動させ、その機能についての確認を行うこと。
2 点検の期間
点検の期間は、おおむね次のとおりとする。
(1) 外観点検 3箇月に1回以上
(2) 総合・機能点検 1年に1回以上
3 点検実施者
点検実施者は、非常通報装置に関し専門的知識を有しているものであること。従って、専門業者と保守点検契約を締結しておくことが望ましいものであること。
4 点検結果
点検結果については、防火対象物台帳等に記載するなど整理保存しておくこと。
5 点検要領
(1) 外観点検
項目 | 点検方法 | 判定方法 |
手動起動装置等 | ア 周囲に使用上の障害となるものがないかどうか確認する。 イ 変形、腐食、手動起動装置等の保護板に損傷がないか確認する。 | ア 使用上の障害となるものがないこと イ 変形、脱落、著しい腐食、保護板等に損傷がないこと。 |
装置本体 | 常用電源の監視装置(ランプ等)が正常であるかどうか確認する。 | 監視装置(ランプ等)が正常であること。 |
予備電源 | 外観及び内蔵電池の製造年月を確認する。 | ア 損傷、腐食等がなく正常であること。 イ 乾電池を使用しているものにあっては、製造年月が1年以内のものであること。 |
発報確認ランプ | 変形、損傷がないかどうか確認する。 | 変形、損傷、脱落等がないこと。 |
接地 | 腐食、断線等がないかどうか目視により確認する。 | 著しい腐食、断線等の損傷がないこと。 |
表示 | 取扱説明、その他必要な事項の表示が適正にされているかどうか確認する。 | 取扱説明、その他の表示の汚損、不鮮明な部分がないこと。 |
(2) 総合・機能点検
項目 | 点検方法 | 判定方法 |
手動起動装置等 | 局線を捕捉しない状態で、手動起動装置等を操作し、各項目が確実に作動するかどうかを確認する。 | 非常通報装置が起動し、試験のための通報が自動的に開始すること。 |
送出信号モニタ | 電話回線に選択信号を送出中である旨の信号音をスピーカでモニタできること。 | |
発報の確認 | 発報した旨の表示がなされること。 | |
音声情報のモニタ | 予め装置に記憶させておいた音声情報がモニタ用スピーカで明確に聞き取れること。 | |
自動再呼出し | 再呼出し音をモニタで確認する。 | |
予備電源(端子電圧)(切換装置) | ア 予備電源スイッチ等を操作し電圧計等により確認すること。 イ 本体内部の電源スイッチ等の操作により作動を確認すること。 | ア 電圧計等の指示が適正であること。 イ 自動的に予備電源に切替わり、常用電源を復旧したとき、自動的に常用電源に切り替わること。 |
通話機能への切替 | 消防機関の了解が取れれば電話回線を使用、又はこれに代わる試験装置を使用して各項目が確実に作動するかどうか確認すること。 | 蓄積音声情報を送出中に、電話回線が送受話器側に切替わること。 |
呼返し応答 | ア 呼返し受信機能が正常であること。 イ 呼返しに対し、応答及び通話が正常であること。 |