ダイオキシン類対策特別措置法について

  1. ダイオキシン類対策について
  2. ダイオキシン類とは
  3. 自然界におけるダイオキシン類について
  4. ダイオキシン類の排出規制等について
  5. 関係情報について

1.ダイオキシン類対策について

  • ダイオキシン類に関して、ダイオキシン類対策特別措置法が定められています。

  • 南但クリーンセンターにおいてダイオキシン類に関する各基準に関して関係法令を遵守し、安全・安心な施設の管理運営を行います。

2.ダイオキシン類とは

  • ダイオキシン類は、炭素・酸素・水素・塩素を含む物質が熱せられるような過程(焼却等)で自然にできてしまう副生成物です。

  • ダイオキシン類の種類としては、構造的に塩素の数や付く位置等により異性体としてのダイオキシン化合物が多数存在していますが、 法律では、毒性があるとみなされている次の29種類について「ダイオキシン類」として指定しています。

  • ダイオキシン類は、毒性の強さがそれぞれ異なっているため、最も毒性の強い「二・三・七・八―四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン(2,3,7,8,TeCDD)」の毒性を「1」として、毒性の強さ換算した係数を用いています。

  • ダイオキシン類の濃度データとしては、各異性体のダイオキシン量とその係数の積の合計を算定し、求められた値を毒性等量(TEQ)として表現しています。


■ダイオキシン類対策特別措置法施行規則 別表第三(第三条関係・換算表)より
種類 異性体 係数
②ポリ塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン
(PCDD)
7種類
二・三・七・八―四塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン 1(※基準)
一・二・三・七・八―五塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン 1
一・二・三・四・七・八―六塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン 0.1
一・二・三・六・七・八―六塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン 0.1
一・二・三・七・八・九―六塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン 0.1
一・二・三・四・六・七・八―七塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン 0.01
八塩化ジベンゾ―パラ―ジオキシン 0.0003
①ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)
10種類
二・三・七・八―四塩化ジベンゾフラン 0.1
一・二・三・七・八―五塩化ジベンゾフラン 0.03
二・三・四・七・八―五塩化ジベンゾフラン 0.3
一・二・三・四・七・八―六塩化ジベンゾフラン 0.1
一・二・三・六・七・八―六塩化ジベンゾフラン 0.1
一・二・三・七・八・九―六塩化ジベンゾフラン 0.1
二・三・四・六・七・八―六塩化ジベンゾフラン 0.1
一・二・三・四・六・七・八―七塩化ジベンゾフラン 0.01
一・二・三・四・七・八・九―七塩化ジベンゾフラン 0.01
八塩化ジベンゾフラン 0.0003
③コプラナーポリ塩化ビフェニル
(コプラナーPCB)
12種類
三・四・四′・五―四塩化ビフェニル 0.0003
三・三′・四・四′―四塩化ビフェニル 0.0001
三・三′・四・四′・五―五塩化ビフェニル 0.1
三・三′・四・四′・五・五′―六塩化ビフェニル 0.03
二′・三・四・四′・五―五塩化ビフェニル 0.00003
二・三′・四・四′・五―五塩化ビフェニル 0.00003
二・三・三′・四・四′―五塩化ビフェニル 0.00003
二・三・四・四′・五―五塩化ビフェニル 0.00003
二・三′・四・四′・五・五′―六塩化ビフェニル 0.00003
二・三・三′・四・四′・五―六塩化ビフェニル 0.00003
二・三・三′・四・四′・五′―六塩化ビフェニル 0.00003
二・三・三′・四・四′・五・五′―七塩化ビフェニル 0.00003

 なお、各基準値には、次の単位を使用しています。
 ・g [グラム : 1g]
 ・mg [ミリ グラム : 0.001g、(10の-3乗)g、1000分の1g]
 ・μg [マイクロ グラム : 0.000 001g、(10の-6乗)g、100万分の1g]
 ・ng [ナノ グラム : 0.000 000 0001g、(10の-9乗)g、10億分の1g]
 ・pg [ピコ グラム : 0.000 000 000 001g、(10の-12乗)g、1兆分の1g)]
 ・TEQ[毒性等量:Toxic Equivalent Quantity]
  ダイオキシン類の量:種類ごとの毒性の強さを換算する係数を乗じて得た値を総和した値
 ・m3N [ノルマル立方メートル : 0℃、1気圧のときの気体1m3の体積]

3.自然界におけるダイオキシン類について

■「ダイオキシン類・2012(関係省庁共通パンフレット)」
 (環境省水・大気環境局総務課ダイオキシン対策室)  
等より抜粋しています。

  • ダイオキシン類は、通常は無色の固体で、水に溶けにくく、蒸発しにくい反面、脂肪などには溶けやすいという性質を持っています。
     また、ダイオキシン類は他の化学物質や酸、アルカリにも簡単に反応せず、安定した状態を保つことが多いのですが、太陽光の紫外線で徐々に分解されるといわれています。

  • ダイオキシン類の現在の主な発生源は、ごみ焼却による燃焼ですが、その他に、製鋼用電気炉、たばこの煙、自動車排出ガスなどの様々な発生源があります。
     ダイオキシン類は、主としてものを燃やすところから発生し、処理施設で取りきれなかった部分が大気中に出ます。
     また、かつて使用されていたPCBや一部の農薬(除草剤)に不純物として含まれていたものが底泥などの環境中に蓄積している可能性があるとの研究報告があります。
     また、ダイオキシン類は、自然界でも発生することがあり、例えば、森林火災、火山活動等でも生じるといわれています。

  • ダイオキシン類は、「青酸カリよりも毒性が強く、人工物質としては最も強い毒性を持つ物質である」といわれることがありますが、これは、日常の生活の中で摂取する量の数十万倍の量を摂取した場合 の急性毒性のことです。
     しかしながら、ダイオキシン類は意図的に作られる物質ではなく、実際に環境中や食品中に含まれる量は超微量ですので、私たちが日常の生活の中で摂取する量により急性毒性が生じることはないと考えられます。

  • ダイオキシン類対策特別措置法第6条において、人が一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される耐容一日摂取量を、人の体重1㎏当たり4pg-TEQ/㎏/日としています。

  • 日本人の一般的な食生活で取り込まれるダイオキシン類の量は、厚生労働省の平成21年度の調査(一日摂取量調査)では、人の平均体重を50kgと仮定して体重1kg当たり約0.84pg-TEQと推定されています。
     また、大気より0.0090pg-TEQ/㎏/日、土壌より0.0042pg-TEQ/㎏/日の摂取量を加えると、合計で0.85pg-TEQ/㎏/日(H21年度、TEF-WHO、2006)となっています。
     この水準は、耐容一日摂取量(TDI)を下回っており、健康に影響を与えるものではありません。(※4pg-TEQ/㎏/日>0.85pg-TEQ/㎏/日)
     なお、一日摂取量調査については、各調査機関が各年度単位において各調査を実施していますが、いずれ耐容一日摂取量を下回っています。

  • 平成11年7月にダイオキシン類対策特別措置法が成立し、各施策を実施した結果、ダイオキシン類の排出量は着実に減少し、大気や水質のダイオキシン 類濃度は、ほぼ全国的に環境基準を達成し、人の平均的な蓄積量も基準値を下回るなど、ダイオキシン類汚染の改善が進んでいます。

  • 厚生労働省において、保存されていた関西地区の過去の一日摂取量調査の試料についてダイオキシン 類の濃度を測定したところ、この20年間で3分の1程度にまで減少していることがわかっています。

4.ダイオキシン類の排出規制等について

ダイオキシン類対策特別措置法において、ダイオキシン類の排出基準について、特定施設に係る排出ガス又は排出水に含まれるダイオキシン類の排出の削減に係る技術水準を勘案し、特定施設の種類及び構造に応じて定めています。

■大気排出基準について
ダイオキシン類対策特別措置法施行規則、別表第一に次のように定められています。
 廃棄物焼却炉(火床面積が 0.5 m2 以上、又は焼却能力が 50 kg/h 以上)
特定施設 施設規模 新設・許容限度
廃棄物の焼却炉 焼却能力が4,000㎏/時間以上 0.1ng-TEQ/m3N
焼却能力が2,000㎏/時間以上、4,000㎏/時間未満 1ng-TEQ/m3N
焼却能力が2,000㎏/時間未満 5ng-TEQ/m3N


■排出水の排出基準について
ダイオキシン類対策特別措置法施行規則、別表第二に次のように定められています。
 廃棄物焼却炉(火床面積が 0.5 m2 以上、又は焼却能力が 50 kg/h 以上)
特定施設 施設 新設・許容限度
廃棄物の焼却炉 廃ガス洗浄施設、湿式集じん施設、汚水又は廃液を排出する灰の貯留施設 10pg-TEQ/L


■環境基準について(参考)
 環境基本法16条に基づき「人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持される
 ことが望ましい基準」として、大気・水質等についての環境基準が定められています。
  (1)大気 年平均値 0.6pg-TEQ/m3以下
  (2)水質 年平均値 1pg-TEQ/l以下
  (3)底質 150pg-TEQ/g以下
  (4)土壌 1000pg-TEQ/g以下

5.関係情報について (※各HPにリンクします。)

法令等

環境省

厚生労働省

農林水産省