水銀汚染防止対策について(概要)

 「水銀に関する水俣条約」の発効に伴い、地球規模の水銀汚染の防止を目指すため、次に掲げる取組み等を実施します。
  1. 水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀汚染防止法)について
  2. 大気汚染防止法の改正概要について
  3. 公共用水域、地下水、土壌等における水銀の環境基準、排出基準
  4. 家庭から排出される水銀使用廃製品について
  5. 南但クリーンセンターの水銀汚染防止に関する取り組みについて
  6. 廃棄物処理法・関係情報について
  7. 水銀汚染防止法・関係情報について
  8. 大気汚染防止法・関係情報について
  9. ガイドライン等・関係情報について
  10. その他関係情報について

1.水銀による環境の汚染の防止に関する法律(水銀汚染防止法)について

水銀汚染防止法の概要について

  • 水銀等による環境の汚染の防止に関する計画を策定する。
  • 水銀鉱の掘採を禁止する。
  • 特定の水銀使用製品について、許可を得た場合を除いて製造を禁止するとともに、部品としての使用を制限する等の所要の措置を講じる。
  • 特定の製造工程における水銀等の使用を禁止する。
  • 水銀等を使用する方法による金の採取を禁止する。
  • 水銀等の貯蔵に係る指針を定め、水銀等を貯蔵する者に対し定期的な報告を求める。
  • 水銀含有再生資源の管理に係る指針を定め、水銀含有再生資源を管理する者に対し定期的な報告を求める。
  • その他罰則等所要の整備を行う。

水銀汚染防止法における責務について(抜粋)

  • (国の責務)
    第16条 国は、市町村が水銀使用製品を適正に回収するために必要な技術的な助言その他の措
     置を講ずるよう努めなければならない。
  • (市町村の責務)
    第17条 市町村は、その区域の経済的社会的諸条件に応じて、その区域内における廃棄され
     た水銀使用製品を適正に回収するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
  • (事業者の責務)
    第18条 水銀使用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、当該水銀使用製品への水銀等の使
     用に関する表示その他の消費者が水銀使用製品を適正に分別して排出することを確保する
     ことに資する情報を提供すよう努めなければならない。

2.大気汚染防止法の改正概要について

排出ガス中の水銀測定について(法令、環境省告示より)

  • 用語の定義
    ガス状水銀:排出ガス中に気体として存在する水銀及びその化合物の総称
    粒子状水銀:排出ガス中のダストに含まれる水銀及びその化合物の総称

  • 測定対象・方式:全水銀( ガス状水銀 及び 粒子状水銀)を対象として、バッチ測定で行います。
     ※連続測定は現在の測定機では粒子状水銀が測定対象外であるなどの難点がある。

  • 水銀等の濃度の算出:ガス状水銀及び粒子状水銀について合算して求めます。

  • ガス状水銀 【湿式吸収-還元気化原子吸光法】の試料採取・分析方法
     JIS K 0222(排ガス中の水銀分析方法)を基本とし、主に以下の点を変更。
     〇排出ガスの吸引量
      100L程度(吸引流速は0.5~1.0L/分)

  • 粒子状水銀の試料採取・分析方法
     〇JIS Z 8808(排ガス中のダスト濃度の測定方法)に準拠してフィルターに粒子状水銀
      を含むダストを等速吸引により捕集し、1,000L程度(吸引10~40L/分の範囲)
      を採取する。

  • 測定頻度
     排出ガス量が4万Nm3/時以上の施設 : 4か月を超えない作業期間ごとに1回以上
     排出ガス量が4万Nm3/時未満の施設 : 6か月を超えない作業期間ごとに1回以上
     【規則第16条の12第1号】
     ※作業期間とは、施設の稼動期間であり施設の停止期間は含まれない。  

  • 制定された排出基準、測定結果の確認方法について 
    【参照】大気汚染防止法の一部を改正する法律等の施行について
         (環境省 平成28年9月26日環水大大発第1609264号) P20~P21等 

    ① 今般設定した排出基準は、測定結果に一定の濃度変動が内在することに留意し、対象施設において一度でも超えてはならない水準として設定するのではなく、 平常時における平均的な排出状況として達成しうる水準として設定したものである。

    ② 投入物の水銀含有量によっては、排出ガス中の水銀濃度が突発的に高濃度となる可能性がある。このため、定期測定において排出基準を上回る水銀濃度が検出された場合は、 その測定結果が平常時における平均的な排出状況を捉えたものであるかを確認するため、「再測定」を実施したうえで評価することとされている。

    ③ 排出基準は、大気中に排出された水銀等を直接吸入することによる健康被害を防止するというよりも、環境中を循環する水銀の総量を地球規模で削減するという観点から 水銀等の大気排出量をできる限り抑制すべく設定したものであることから、排出基準を超える水銀等が排出されたとしても直ちに地域住民に健康被害を生じるものではない ことに留意が必要である。

    <排出基準を上回る濃度が検出された場合>
     水銀排出施設の稼働条件を一定に保った上で、速やかに3回以上の再測定(試料採取を含む)を実施し、初回の測定結果を含めた 計4回以上の測定結果のうち、最大値及び最小値を除く全ての測定結果の平均値により評価する。  【規則第16条の12第3号、第4号】


  • 施行期日:平成30年4月1日(水俣条約の発効がこれ以降となる場合は、条約発効日)
     ※大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令より施行される。
     ※条約発効日:2017年8月16日(日本は2016年2月に締結、50カ国が締結した90日後発効)

廃棄物焼却炉の水銀の排出基準について(抜粋)

水俣条約の
対象施設
大気汚染防止法の
水銀排出施設
施設の規模・要件 排出基準(μg/Nm3)
新規施設 既存施設
廃棄物の焼却設備 廃棄物焼却炉
 ・一般廃棄物
 ・産業廃棄物
 ・下水汚泥焼却炉
● 火格子面積2㎡以上
● 焼却能力200kg/時以上
30 50

(1)酸素換算は、廃棄物焼却炉 12%
   ・酸素濃度12%換算とは、排ガス中の酸素濃度を12%に換算した値により管理します。
   ・係数=(21%-換算酸素濃度 12%)/(21%-実測酸素濃度 〇%)
   ・排ガス中の実測酸素濃度が、(例:16.0%) の時は、
     係数=(21-12)/(21-16.0)=1.80 となり
     測定濃度の実測値に、係数(1.80)を乗じた値で管理することななります。

(2)改正法施行日において現に設置されている既存施設には、新規施設に係る排出基準(新省令「別表第3の3」) ではなく、新省令「附則別表第1」に定める排出基準を適用することとしている。

水銀排出施設の届出について(抜粋)

根拠条文 届出が必要なとき 届出時期 届出書
法第18条の24 法施行時に、既に水銀排出施設に該当する
ものを設置しているとき
法施行から
30日以内
水銀排出施設設置
(使用、変更)届出書
【様式第3の5】
法第18条の31
第2項
以下の変更があったとき
・届出者の氏名、名称、住所、法人代表者氏名
事由発生から
30日以内
氏名等変更届出書
【様式第4】

3.公共用水域、地下水、土壌等における水銀の環境基準、排出基準

公共用水域、地下水、土壌等に関する環境基準、排出基準については、次表のとおりとなっています。

対象 基準名 物質の種類 環境基準・排出基準  根拠法令等
公共用水域 環境基準 総水銀 0.0005mg/L以下 環境基本法
アルキル水銀 検出されないこと。
排水基準 水銀及びアルキル水銀
その他の水銀化合物
0.005mg/L 水質汚濁防止法
アルキル水銀化合物 検出されないこと。
地下水 環境基準 総水銀 0.0005mg/L以下 環境基本法
アルキル水銀 検出されないこと。
特定地下浸
透水の基準
水銀及びアルキル水銀
その他の水銀化合物
0.0005mg/L以下 水質汚濁防止法
アルキル水銀化合物 0.0005mg/L以下
浄化基準 水銀及びアルキル水銀
その他の水銀化合物
0.0005mg/L以下 水質汚濁防止法
アルキル水銀 検出されないこと。
土壌 環境基準 総水銀 検液1Lにつき0.0005mg以下
であること。
環境基本法
アルキル水銀 検出されないこと。
溶出量基準 水銀及びその化合物 0.0005mg以下  土壌汚染対策法
かつ、アルキル水銀が
検出されないこと。
含有量基準 水銀及びその化合物 15mg/kg以下であること。
底質 低質の暫定
除去基準
河川及び湖沼において 25ppm以上 低質の暫定除去
基準について

4.家庭から排出される水銀使用廃製品について

家庭から排出される水銀使用廃製品の一覧表

品名 種類 品番の
記号等
水銀使用量 備考
蛍光管 直管、環型、
コンパクト型
F 蛍光管
1本当たり
平均6mg
・白熱電球、LEDランプには
 水銀は使用されていない。
電球形 EF
殺菌ランプ GL
HIDランプ B,N,M,H
ボタン
電池等
空気亜鉛電池 PR 水銀含有量は
電池の製品重量の
1~2%以下
・補聴器等に使用
・ほぼ全て水銀が使用されている。
・平均製品重量:0.8g
酸化銀電池 SR ・腕時計に使用
・2005年以降無水銀化されている。
・以前の製品に使用されている可能性がある。
・平均製品重量:0.5g
アルカリ
ボタン電池
LR ・ゲーム機等に使用
・2009年以降無水銀化されている。
・以前の製品に使用されている可能性がある。
・平均製品重量:1.6g
水銀電池 NR,MR  - ・カメラの露出計に使用
・1995年に製造が中止されている。
乾電池 ・1990年代以前に国内で製造された乾電池には水銀が使用されていた。
・現在日本で生産された乾電池には水銀は使用されていない。
・海外で生産された乾電池には、水銀が含まれている可能性がある。
・古い乾電池、海外の乾電池等を区分して回収することは現実的でない。
・乾電池に含まれる亜鉛、マンガン等は資源としての利用価値がある。
・各電池等は、「乾電池」として分類し、計画収集することが望ましい。
水銀
使用
製品
水銀体温計 1本当たり約1.2g程度の
金属水銀が使われている。
(参考)蛍光管約200本分に相当する。
水銀温度計 1本当たり約3.7g程度の
金属水銀が使われている。
(参考)蛍光管約620本分に相当する。
水銀血圧計 1台当たり約48gの金属水銀
が使われている。
(参考)蛍光管約8000本分に相当する。

家庭から排出される水銀使用廃製品の分別回収ガイドラン(平成27年環境省)より抜粋

家庭から排出される水銀使用製品に係る水銀汚染防止対策について

  • 排出時に水銀使用製品が破損しないような排出方法とするよう留意する。
  • 水銀使用製品は、その他の廃棄物と混合しないように排出する分別区分とする。
  • 「燃やすごみ」としての排出を行なわないよう周知する。
  • 排出方法に関して、住民へ周知の徹底を図る。

5.南但クリーンセンターの水銀汚染防止に関する取り組みについて

 大気汚染防止法の改正に基づき、廃棄物焼却施設の排ガス中の水銀について排出規制が行なわれることから、水銀使用廃製品の焼却を行なわないようにする必要があります。
 南但広域行政事務組合では、家庭から排出される水銀使用廃製品(乾電池、水銀体温計、蛍光管等)を適正に処理するため、次の取り組みを行なっています。

南但クリーンセンターにおける分別収集について

  • 南但クリーンセンターでは、平成28年4月1日より、爆発や火災の危険性があるもの水銀を含むもので、 組合区域内(養父市、朝来市)の住民から出される次の6品目を「危険ごみ」として指定し、分別収集しています。

      (1) スプレー缶、カセットボンベ類、可燃性ガスを使用している全ての缶類
      (2) 石油ストーブ類(石油を使用している暖房器具の全て)
      (3) 使い捨てライター
      (4) 乾電池、小型充電式電池、ボタン電池等の全ての電池
      (5) 水銀体温計、水銀血圧計、水銀温度計等の全ての水銀使用製品
      (6) 蛍光管(環形蛍光管・角形蛍光管・直管蛍光管・電球形蛍光管、HID管等)

  • 「危険ごみ」の計画収集については、各地区の指定された集積場所において、1回/月の頻度で分別収集を行なっています。 各地区のごみ収集カレンダーに基づき、指定された方法で出してください。

  • 南但クリーンセンター施設においては、「バグフィルター」と「活性炭」による排ガス処理を行なっています。 本方式は、高い水銀除去効果が得られると報告されています。
      【環境省:水銀大気排出対策小委員会(第3回)等を参照】

その他、水銀含有製品の回収について(参考)

  • 医療系、工業系等における水銀含有製品の処理について
    当該事業者において、その産業廃棄物を自らの責任において適正に処理してください。
     (法第3条第1項、第11条第1項)

  • 小型充電式電池(充電して繰り返し使えるタイプ)について
     ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池などの小型充電式電池には、リサイクルマークが付けられています。 マークのついた電池を処分については、回収協力店(電気製品小売店、ホームセンター等)などに設置してある「小型充電式電池リサイクルボックス」において回収を行なっています。

  • ボタン電池について
     ボタン電池の処分については、回収協力店(電気製品小売店、ホームセンター等)などに設置してある「ボタン電池回収缶」において回収を行なっています。

  • 水銀含有農薬等を含む廃農薬の処理について
     たじま農業協同組合(兵庫県豊岡市立野町20-2)が、毎年3月頃にJA指定場所において廃棄農薬の回収事業を行なっています。詳細は、JAに直接お問い合わせください。

6.廃棄物処理法・関係情報について(※各HPにリンクします。)

(1)一般廃棄物について
  廃棄物処理法に係る政令及び省令改正に伴い、平成29年10月1日より、水銀又はその化合物が
 使用されている製品が一般廃棄物となったものから回収した廃水銀は、「特別管理一般廃棄物」
 となります。
 (令第1条第1の2号、規則第1条第1項)

(2)産業廃棄物について
  廃棄物処理法に係る政令及び省令改正に伴い、平成29年10月1日より、次に該当する廃水銀は
 「特別管理産業廃棄物」となります。
   ①規則別表第1に掲げる施設において生じた廃水銀又は廃水銀化合物
   ②水銀若しくはその化合物が含まれている産業廃棄物又は水銀使用製品が産業廃棄物と
    なったものから回収した廃水銀
 (令第2条の4第5号ニ、規則第1条の2第5項、別表第1)

法令等(e-Gov法令検索)


7.水銀汚染防止法・関係情報について (※各HPにリンクします。)

水銀汚染防止の制度概要

法令等(環境省・e-Gov法令検索)


8.大気汚染防止法・関係情報について (※各HPにリンクします。)

大気汚染防止の制度概要

9.ガイドライン等・関係情報について (※各HPにリンクします。)

水銀廃棄物処理の制度概要

10.その他関係情報について (※各HPにリンクします。)

条約の制度概要、その他