南但ごみ処理施設整備事業の施設整備基本計画

計画改定

 南但ごみ処理施設整備委員会では、施設整備基本計画の見直しを 行い、平成20年5月12日に浦邊委員長から井上管理者に報告が行われました。 

施設整備基本計画(概要版)

  1. 基本方針
  2. 基本フレーム
  3. 可燃ごみ処理施設
  4. リサイクル施設
  5. 施設運営計画
 

1.基本方針

1.計画改定の趣旨

 南但地域では、平成16年3月に「施設整備基本計画」を策定しました。しかし、その後も引き続き検討を行い、 平成18年度には、可燃ごみの処理方式を最終決定し、ごみの減量化、資源化を前提とし、循環型社会、脱温暖化社会 の形成をめざす観点から、「南但地域循環型社会形成推進地域計画」及び「一般廃棄物(ごみ)処理基本計画」を策定しました。 このような状況を受けて、平成19年12月に「南但ごみ処理施設整備委員会」を再度設置し、これまでの検討結果を整理する とともに、一般廃棄物処理施設のあり方について総合的に検討を行い、施設整備基本計画の見直しを行いました。

施設整備基本計画の策定(平成16年3月) → 見直 し(平成20年3月)
2.施設整備の必要性

 南但地域の養父市、朝来市では、可燃ごみについては焼却処理施設を設置し、ダイオキシン類対策を はじめとする周辺環境に配慮したごみ処理を行っていますが、両施設とも稼働後約20年を経過し、経年に 伴う老朽化が進行しています。また、不燃・資源ごみについてもそれぞれ施設を設置し、資源化を図っていますが、 一部の設備で老朽化が進むとともに、将来の新たなごみの分別に対応できない、啓発・研修機能がないといった課題 を抱えています。これに対し、最終処分場については、朝来市の処分場にまだ十分な残余容量が残されています。
 このような状況に鑑み、新たに可燃ごみ処理施設とリサイクル施設を整備することとし、施設整備にあたっては、 兵庫県ごみ処理広域化計画に基づき南但地域として広域化を図ります。

整備する施設 → 可燃ごみ処理施設、リサイクル施設 (南但地域)
             ※最終処分場は整備しない。
3.施設整備の基本理念

 計画にあたっては、めざすべき施設のあり方として、次のとおり基本理念を定めています。

周辺環境、地球環境への負荷が小さい施設


法律で定められた排出基準より厳しい自主規制基準を設定し、この基準の 遵守できる施設の建設と運転を行います。また、二酸化炭素(CO2)の排出をできる限り抑制するなど、地 球環境への負荷が小さい施設とします。

循環型社会を前提とした施設


天然資源の消費が抑制され、環境への負荷が低減される循環型社会の形成 が求められています。新しい施設は単なる「ごみ処理施設」ではなく、循環型社会の拠点となる施設とします。

ごみを安全に、安定的に処理できる施設


ごみをそれぞれの性状に合わせて安全に、安定的に処理できる処理方式を 採用します。また、事故などを起こさないよう、適切な運転管理に努めます。

経済性に優れた施設


ごみの減量とリサイクルを前提とした適切な処理方式、適切な施設規模と するとともに、効率的な運転に努め、経済性に優れた施設とします。

 

2.基本フレーム

1.建設予定地

 本計画による施設の建設予定地は、図2-1に示すように、養父市との境界に近い朝来市 和田山町高田にあり、円山川右岸に位置しています。なお、用地面積としては、約3.5haを予定 しています。

建設予定地 → 朝来市和田山町高田地内 (3.5ha)
建設予定地の位置
図2-1 建設予定地の位置

2.計画目標年度

 本計画では、施設稼動予定年度である平成25年度を計画目標年度としています。

計画目標年度 → 平成25年度(施設稼動予定年度)
3.計画収集区域

 計画収集区域は、南但地域(養父市、朝来市)全域とします。

計画収集区域 → 南但地域(養父市、朝来市)全域
4.計画収集人口

 目標年度である平成25年度の計画収集人口は、次のように予測されます。

養父市 → 27,225人  朝来市 → 35, 007人
    南但地域 → 62,232人(いずれも平成25年度)
5.計画ごみ処理量

 今後は、ごみ処理基本計画、循環型社会形成推進地域計画に基づきごみの減量化を図ることとしていますが、 目標年度におけるごみの区分ごとの処理量は、表2-1に示すとおりです。家庭系14,229トン、事業系3,736トン の合計18,035トンとしており、平成18年度実績と比較すると、合計で約20%の減少となっています。


表2-1 計画ごみ処理量(単位:トン/年)

ごみの区分 家庭系 事業系
可燃ごみ 11,163 2,174
古紙類 246 214
紙製容器包装 341
ペットボトル 89
プラ製容器包装 681
白色トレイ 13
缶類 257 10
びん類 548 25
不燃ごみ 562 1,206
粗大ごみ 399 105
合  計 14,299 3,736

家庭系(収集ごみ)    → 14,299トン
事業系(直接搬入ごみ) →  3,736トン
   合計 → 18,035トン(いずれも平成25年度)
 

3.可燃ごみ処理施設

1.処理方式の選定

 可燃ごみの処理方式ついては、これまで各種の委員会において比較検討を行いましたが、 メタン発行と焼却を組み合わせた「バイオマス+焼却処理方式」が南但地域に最も適しているとの結論に至りました。

可燃ごみ処理方式 → バイオマス+焼却処理方式

2.施設の種類

 可燃ごみ処理施設は、バイオガス発生率および発生量、熱回収率を一定以上とすることにより、 交付金の交付率の高い「高効率原燃料回収施設」として整備します。

可燃ごみ処理施設  → 高効率原燃料回収施設(交付率:2分の1)

3.処理基本フロー

 処理基本フローを図3-1に示しますが、各設備の処理概要は次のとおりです。

  図3-1 高効率原燃料回収施設の処理基本フロー

    【バイオマス施設】

受入・選別設備  収集及び直接搬入された可燃ごみを受入ピットにて一時貯留し、 攪拌・混合した後、定量ずつ選別設備に供給します。選別設備では、発酵に適するバイオマス(生ごみ、紙類など)と発酵不適物(プラスチック類など)に選別し、 バイオマスは発酵槽に、発酵不適物は焼却処理施設に送ります。また、鉄類等の異物の除去も合わせて行います。
発酵設備  メタン発酵によりバイオガス (メタンガス濃度:約50~60%)を回収します。発酵後の残留物については、脱水機により発酵残渣と排水に分離し、発酵残渣は焼却処理施設に、 排水は一部を希釈水として利用し、残りは排水処理施設に送ります。
排水処理設備  脱水後の排水に、他施設(焼却処理施設、リサイクル施設)からのプラント排水、生活排水を加えて処理します。

    【焼却処理施設】

受入設備  選別設備からの発酵不適物、 発酵残渣及びリサイクル施設からの破砕選別可燃ごみを中間ピットにて一時貯留し、攪拌・混合した後、定量ずつ焼却炉に供給します。
焼却設備  ストーカ式の焼却炉にて、乾燥・燃焼・後燃焼を行い、2次燃焼室で完全燃焼を図ります。
排ガス処理設備  水噴射式のガス冷却室、熱交換器により 排ガス温度を減温した後、乾式排ガス処理装置、バグフィルタ、触媒反応塔などによって処理を行い、排ガス中の各種規制物質の濃度を自主規制基準値未満に低減します。
灰処理設備  焼却炉からの焼却灰、排ガス処理設備からの飛灰については、 加湿等の処理を行った後、場外に搬出し、外部委託により有効利用(セメント原料化)を行います。
4.施設規模

 バイオマス施設1系列、焼却処理施設1系列とし、目標年度の日平均処理量に 稼働率を乗じて得られた施設規模は次のとおりです。

バイオマス施設  28トン/日 365日稼動
焼却処理施設  38トン/日 280日稼動
5.バイオガスの利用

 回収したバイオガスは、ガスエンジン等の燃料として利用し、発電を行います。得られた電気は、施設内で消費します。

バイオガス → ガスエンジンによる発電(発電効率 10%以上)
6.余熱の利用

 バイオマス施設のガスエンジン等の排ガス、焼却処理施設の排ガスから熱回収し、次のとおり利用します。 なお、施設の立地条件から外部への熱供給は行わないことにしています。

バイオマス施設の余熱 → 発酵槽の加温、汚泥の乾燥
焼却処理施設の余熱  → 給湯、洗車、焼却用空気加熱、触媒用
                 空気加熱、(暖房、融雪、白煙防止)
                       ※カッコ内は冬期のみ利用
7.処理水、雨水の利用

 施設からのプラント排水と生活排水を合わせて処理し、処理水は全量再利用することにより、 外部へ放流しません。また、敷地内に降った雨水もできる限り用水として利用します。

処理水 → 焼却処理施設のガス冷却水(無法流、ク ローズドシステム)
雨水   → プラント用水(できる限り利用する)
8.メリット

 バイオマス+焼却処理方式を導入することにより、次のようなメリットが考えられます。

  • 南但地域の施設規模では、全量焼却したとしても蒸気による発電は困難ですが、 バイオマス方式を採用することにより、メタンガスを燃料とする発電が可能となります。

  • 焼却処理のみの場合には、容器包装、古紙類などの資源化が進むと、 燃えにくいごみの割合が多くなり、焼却が困難になることが予想されます。 これに対し、バイオマス+焼却処理方式の場合には、燃えやすいごみと燃えにくいごみを 分けて処理することができます。

  • 水分の多いごみをバイオマス処理することにより、焼却するごみの水分が下がり、熱量が多くなります。

  • 生ごみ、紙類などをガス化させることにより、焼却するごみの量を約3割削減できます。

  • 高効率原燃料回収施設(モデル施設)とすることにより、バイオマス施設、焼却処理施設ともに交付金の 交付率が2分の1(通常は3分の1)となり、財政的に有利となります。

バイオガスによる発電

維持管理費の削減、二酸化炭素排出量の削減
ごみの性状に適した処理

ごみの削減化の推進、燃焼の安定化、焼却用燃料の額減
焼却ごみの水分低下

燃焼の安定化、焼却用燃料の削減
焼却量の削減

有害物質排出量の削減、二酸化炭素排出量の削減
交付金交付率のアップ

建築費の削減
 

4.リサイクル施設

1.施設の種類

 資源化施設の啓発・研修施設を併設した「リサイクルセンター」として整備します。

リサイクル施設 → リサイクルセンター(交付率:3分の1)

2.処理基本フロー

 リサイクルセンターの処理基本フローを図4-1に示します。

  図4-1 リサイクルセンターの処理基本フロー

 分別収集されたごみは次のとおり処理され、資源物としてストックヤードに保管されます。 なお、資源化できない可燃物は焼却処理し、不燃物は最終処分場の埋立処分します。


ごみの処分
処理方法
可燃性粗大ごみ

切断した後、焼却する。
(焼却処理施設で処理)
不燃性粗大ごみ
不燃ごみ

破砕した後、鉄、アルミ、可燃物、不燃物に選別する。
缶類

鉄製とアルミ製に選別した後、圧縮処理する。
紙製容器包装
プラ製容器包装
ペットボトル

手選別にて異物を取り除いた後、圧縮梱包する。
(2ラインを共用)
蛍光灯・電球

破砕により減容化する。
古紙類
びん類
白色トレイ
乾電池類
水銀使用製品

そのままストックヤードに保管する。
3.施設規模

 目標年度の日平均処理量に変動係数と稼働率を乗じて得られた施設規模は次のとおりです。

リサイクルセンター → 17トン/日 243日稼動
4.啓発・研修施設

 リサイクルセンターには、啓発・研修を行うための次のような施設も整備します。 なお、これらの施設の運営にあたっては、リサイクル活動を行っている各種団体、NPOなどの活用を図ります。

多目的室 家具、自転車などの修理・再生、リサイクル体験学習
情報室 小学生の社会科学習、研修、会議
研修室 フリーマーケット、各種イベント
フリースペース(屋外) フリーマーケット、各種イベント
 

5.施設運営計画

1.施設配置

 施設配置(案)を図5-1に示します。搬入道路から左側(養父市側)をAブロック、右側を Bブロック、Bブロックの奥をCブロックとし、それぞれ次のように施設を配置する計画です。

施設配置(案)
図5-1 施設配置(案)

Aブロック → 可燃ごみ処理施設(高効率原燃料回収施設)
Bブロック → リサイクル施設(リサイクルセンター、管理棟を含む)
Cブロック → ストックヤードや駐車場などの付属設備

2.公害防止計画

(1)排ガス等

 焼却処理施設からの排ガス、飛灰(集じん器で捕集された灰)に対しては、次のとおり法令による 基準と同等もしくは厳しい規制基準を設定し、これを遵守する運転を行います。

ばいじん 0.04(0.15)g/m3N未満
排ガス中のダイオキシン類 0.05(5)ng-TEQ/m3N未満
飛灰中のダイオキシン類 3(3)ng-TEQ/g未満
一酸化炭素 30(30)ppm未満
塩化水素 200(430)ppm未満
硫黄酸化物 1.75(17.5)(K値)未満
窒素酸化物 150(250)ppm未満


※カッコ内は法令による基準値

(2)騒音・振動

 騒音・振動については、地域の立地条件等を考慮した上で法令、条件により規制基準が 定められているので、自主規制基準も同様とします。

騒音→朝(6時~8時)50以下  昼間(8時~18 時)60以下
    夕(18時~22時)50以下 夜間(22時~6時)45以下
振動→昼間(8時~19時)60以下 夜間(19時~8時)55以下
                ※単位はいずれもデシベル

(3)悪臭

 悪臭については、敷地境界線上で22物質、排ガス排出口で13物質に対して、地域の立地条件等を考慮した上で法令、 条例により規制基準が定められており、自主規制基準も同様とします。なお、敷地境界線上については、臭気指数についても 基準を設けます。

敷地境界線上→22物質(法令、条例による規制基 準)、臭気指数10以 下
排ガス排出口→13物質(法令、条例による規制基準)

(4)委員会の設置

 施設の稼動状況を監視し、周辺の生活環境への影響を抑制するため、地域住民を 含めた委員会を設置し、定期的に開催します。

施設の稼動状況の監視 → 委員会の設置(地域住民含 む)
3.安全衛生管理計画

 事故を未然に防止するとともに、万一発生した場合に被害をできるだけ少なくするため、 次のような対策を実施します。

管理体制の確立

安全管理者等の選任、安全衛生教育の実施
設備の安全対策

必要な安全装置の取付、粉じん防止、騒 音・振動防止など
交通安全対策

収集車と一般者の動線の分離、左回り方式 への統一など
見学者の安全対策

見学者用通路の確保など
事故時の対応

事故対応マニュアルの作成、訓練の実施な ど
4.事業運営管理計画

 廃棄物処理施設の建設、運営管理については、新しい手法が導入されつつありますが、これらを比較しながら、 南但地域に最も適した方式を選定します。

事業運営方式

PFI方式は導入しない。それ以外の方法 について検討する

5.事業工程計画

 事業工程計画は次のようになっており、平成25年度4月からの供用開始を予定しています。
(PDF ファイルです)




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